
『子どものやる気を引き出す学習集団・授業づくり 中学校・基礎編』
ー学校現場で役立つ授業理論と実践事例ー Amazonにて販売中
本書の特徴
本書は、先生方が学校現場で感じておられる違和感、モヤモヤを解消するために執筆した、言わば「学校教育の取扱説明書」です。多様な子どもへの対応、授業と評価のズレ、学級経営での迷いなど、学校現場で出会う「困った」場面の解決策を提案しました。
提案する解決策は、従来の発想を転換し、少しの努力を継続することで実現できるものです。最先端の教育方法学的理論に依拠しつつ、1984年から2019年までの中学校現場における筆者の「生の実践例」を通して具体的に紹介しました。
本書で紹介する主な内容は、@1980年代の壮絶な校内暴力を克服した事例。A子どもたちによる学級自治を中心にした学級経営で、子どもたちが不登校生の登校を支え、不良少女の立ち直りを支援した事例。B発達障害など学習にハンディキャップを抱える子どもたちを支援する理論と方法。C「主体的で対話的な深い学び」を実現する授業理論と具体的な方法。D「思考力・判断力・表現力」の評価をペーパーテストで実現する理論と実際の試験問題。Eパフォーマンス課題を使う授業で学力格差を学びの推進力に昇華する授業。F子どもたちの主体性を引き出す理論とグループ学習のルール。G「主体的な態度」を評価する方法。H「課題作文」の開発とパフォーマンス評価理論による採点基準の実例。I「問い」の工夫で学習集団を育て個に「深い学び」を実現する理論と方法。などが主な内容です。A5判サイズ。全198ページ。
「教師は授業で勝負する」と諭すように先人が言いました。しかし、反抗期の子どもたち相手に難解な学習内容を伝えることは容易なことではありません。授業妨害など「困ること」に出会うこともあります。生身の人間ができることは限られています。
でも、発想の転換と少しの努力を継続すことで、子どもたちを生き生きと学びに向かわせることができるはずです。先生方の主体的な授業づくりや学級経営に役立つアイデアを筆者は伝えたいと思います。筆者・倉橋忠。
「目次」
T部 子どもたちを理解する
第1章 子どもたちは仲間といるから育つ
1 子どもたちは多様な家庭から学校に通っている
2 学級自治でどの子も主人公になれる学級を目指す
3 引きこもり状態の不登校生を学級全体で支援する
4 腕力に頼る指導は崩壊する
5 子どもたちによる学級自治の成果
第2章 発達障害を抱える子どもたちと学習指導
1 ハンディキャップを受け止める
2 授業で暴れる男の子との出会い
3 学習に手こずっている子どもを理解する
4 「困らせる子」は「困っている子」
5 発達障害の特性を理解する
6 ソーシャルスキル・トレーニング(SST)に学ぶ
第3章 授業をユニバーサルデザイン化する
1 授業のユニバーサルデザイン化
2 感性は「学び」を活性化させる無限の資源
3 板書のユニバーサルデザイン化
4 「見える化」したノートプリントを使う
第4章 授業パターンを固定化する
1 授業設計の基本形は一斉指導で教科書を使う
2 教科書から始め「問い」で深化させる授業
U部 授業と評価の一体化を図る
第5章 「学力の構造」をとらえる
1 学力モデルを仮定する
2 基本性の学力と生徒指導要録の「観点」
3 発展性の学力と生徒指導要録の「観点」
4 「思考力・判断力・表現力」は基本性の学力
5 「主体的に学ぶ態度」は発展性の学力
6 発展性の学力の成長過程
第6章 試験問題で学び方をリードする
1 分かる授業は教育目標を明確にすることから
2 目標準拠評価の意味と役割を知る
3 目標準拠評価による授業の改善
4 試験問題を変えれば学習態度も変わる
5 「知識・技能」の評価方法
6 「思考力・判断力・表現力」の評価方法
第7章 「主体的で対話的な深い学び」
1 「主体的で対話的な深い学び」と授業設計
2 「深い学び」を実現するために
4 「主体的に学習に取り組む態度」の意味
5 「主体的に学習に取り組む態度」の評価
6 「ノート」に個性と主体性が表れる
第8章 主体性と熟練度をパフォーマンス評価で測る
1 パフォーマンス評価の特徴
2 パフォーマンス課題を開発する
3 ルーブリックに記述する内容
4 ルーブリックを作成する手順
5 作文評価に使える「簡易型ルーブリック」
第9章 パフォーマンス課題を使った授業実践例
1 思考の往復運動型の授業でパフォーマンス課題
2 パフォーマンス課題「防犯カメラとプライバシー権」
3 グループ学習の様子
4 授業「防犯カメラとプライバシー権」の成果(作文)
V部 学習集団を育て深い学びに迫る授業
第10章 学習集団を育てる
1 一斉指導の重要性が増している
2 「答え」から始める授業
3 学力格差を授業の推進力にする
4 グループ学習と「主体的な学び」
5 グループ学習の成立条件
第11章 「問い」で授業設計する
1 「問い」で思考の往復運動を組み立てる
2 授業過程を「問い」で設計する
3 質問と発問の違いを活かす
4 本当に教えたいことは「教えない」
W部 「問い」で学習集団と個を育てる授業
第12章 「問い」で授業をつくる
1 「当たり前」を疑うことから学びが始まる
2 発問で子どもの主体性と学習意欲を引き出す
第13章 「問い」と「答え」の中間を設計する
1 考える必要のある「問い」をつくる
2 疑問詞をヒントに「視点」を与える
3 発問の仕方で育つ学力に違いが出る