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試験問題「ブタが肥えて人が飢えている。肉食をどうする」HEADLINE

【観点】
  • 主体的に学ぶ態度

【問題】
2019年実施
 次の4人の会話文は中学生のものです。4人が話し合っていることについて、あなたはどのような意見を持ちますか。4人の会話をよく読んだうえで、あなたが考えることを作文しなさい。

太郎君:地球上では、今、約8億人の人々が飢えているみたい。飢えが原因で1日に死ぬ人が1日に4万人
   ほどいる。そのうち7割が子どもたちなんだ。腹ぺこってつらいよ。毎日だよ。
はな子さん:それなのに、日本では毎日のように、まだ食べることのできる食べ物が捨てられているっ
   て聞いたよ。
次郎君:そうだね。日本全国で多くの食料を捨ててるようだ。それも石油を使って燃やしているんだ。
はな子さん:それから、こんなことも勉強したよ。先進国では穀物よりも肉食中心の食生活になってい
   て、多くの家畜を飼育している。その家畜の飼料(エサのこと)に大量の穀物を与えているって。
たけ子さん:何か変よね。先進国で大量に飼育されている、ブタや牛が穀物を食べて太っていて、発展
   途上国では多くの人たちが飢えているなんて。私は、先進国が肉食をやめれば、発展途上国にも
   穀物が行き渡ると思うわ。
次郎君:そうかなぁ~、肉を食べないと動物性タンパク質が取れない。丈夫な体を作ったり、健康な体
   を維持するのに肉食は必要だよ。僕は肉を食べたいと思う。どう考えたら良いんだろう。
はな子さん:私たちが健康なのは肉食ができているからよ。迷うけど、私たちの生活が優先だから仕方
   ないのかなぁ~。
たけ子さん:でも、飢えている子どもたちのことを考えると不公平だわ。私たちは毎日のように肉を食
   べているけど、食べ物が全然ない所に生まれた子どもたちは、肉どころか穀物も食べることがで
   きていないのよ。
太郎君:僕たちにも責任があるような気がする。どうしたら、地球上で飢えている人たちを減らすこと
   ができるんだろう。
たけ子さん:そうよね。飢えている多くの人たちのために、どうしたら食べ物を少しでも増やすことが
   できるのかなぁ~。日本の国全体でできることや、私たち一人ひとりにできることって何がある
   んだろう。




【解答・採点基準】
◎ 各論点について、事実に基づき、重要用語を正しい意味で使用し、筋道を立てて文章を書いていること。
◎ 各論点についての評価点は、( )に示す評価点を上限とする。
◎ 加点法で行うが、作文全体で論理的に成り立たない文章は、後の文章を0点とする。

① 問題点を指摘していること
(4点)
㋐世界では8億人以上の人々が飢えているにもかかわらず、食料自給率の低い日本が大量に食材を捨てている(資源の無駄)。
㋑穀物は一人で年180㎏あれば健康に暮らせる。世界の年間穀物生産量は24億トンあり、穀物は一人あたりにすると328㎏も生産されている。それなのに飢えている人々がいる。
㋒世界では毎日4万人以上が飢えで死んでいるが、その70%は子どもたちである。
㋓先進国は肉食のために、肉1㎏と穀物1㎏は同じカロリーなのに、牛肉1㎏作るのに穀物7㎏、豚肉1㎏作るのに穀物4㎏、鶏肉1㎏作るのに穀物2㎏を使っている。
㋔食料を捨てると食品価格が上がるなど。

② 対立している意見を説明していること(2点)
㋐国の機関は、自国の国民の健康を守る必要・責任がある。
㋑健康な体を維持するためには、動物タンパク質を取る必要があるから、肉食は仕方がない。
㋒飼料用穀物と人間用の穀物を同じように計算するべきではない。など。

③ 公平性や公正の視点から検討していること(2点)
㋐飢えている子どもたちに罪も責任もない。貧しい国に生まれただけで飢えで苦しまなければならない。
㋑先進国の肉食化が進んだことで、発展途上国の穀物輸入が困難になっている。
㋒日本が飢えていたときにユニセフに助けられた。など。

④ 日本や私たちにできる取り組みについてふれていること(2点)
㋐余るほどの食材を買わない。 ㋑食料自給率を高める。 ㋒地産地消を進める。 ㋓肉食の仕方を改善する(牛肉→鶏肉)。
㋔その他、食料資源を無駄にしない取り組みや、食料の公平な分配方法などについて具体的に検討しているなど。




【子どもたちの答案・作文 授業で使用した教材など】
子どもたちの答案「作文」の代表作品
○授業で使用した教材「持続可能な社会を実現するために 食料問題を考えよう」


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