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試験問題「財政の課題」HEADLINE

【観点】
  • 資料活用技能
  • 社会的思考・判断

【問題】
2019年実施
次の資料をよく見て、会話文をよく読んで各問に答えなさい。

太郎君
:図1の歳出を見ると、日本の国が何に重点を置いて政治をしているのかがよく分かるね。

たけ子さん
:歳出で最も多いのは( A )関係費ね。

次郎君:国の2019(令和元)年度の一般会計予算を見ると、総額が101兆4571億円で、年々増加している。国の仕事は( B )でするのが原則だけど、そんなに( B )は増えてるのかなぁ。

はな子さん:そうそう。私も少し気になるんだけど、図2の歳入で一番多いのが公債金になっているよね。これって、何なんかなぁ~。

次郎君:公債金は税金じゃないよ。国が国民からする( C )だよ。図3を見ると毎年増えている。国の発行する公債を( D )、地方公共団体が発行するのを( E )と言うんだ。( D )は短期の物で1年、最も長期の物は40年で利息を付けて返済することになっている。この返済費用が図1の歳出にある国債費なんだ。

たけ子さん:このままだと日本は( C )のかたまりになってしまうよね。図3を見ると、2019年度の公債残高は予算で897兆円もあるよ。とんでもない赤字財政だね。

はな子さん:そうよ。図3に書かれているけど、国民一人あたりにすると約713万円の( C )だって。会計1年度分の税収が約62兆円しかないのに。どうして、そんなことになっているんだろう。( B )を増やす方法ってないのかなぁ~。簡単に増えれば苦労はないか。

たけ子さん:図4を見ると、現在では働いている人の割合の方が多いけど、私たちが55歳になるころの2060年には、総人口中で高齢者のしめる割合が最大になりそうよ今の間に、( D )を減らしておかないと、私たちの老後は大変だわ

太郎君
:そうだよね。この( C )は、今よりも働く人が少なくなる将来の国民が、税金で返済することになるよね。だけど現在の財政だって大変だ。入ってくる税金(収入)と国の仕事(支出)のバランスをどう考えたら良いんだろう。

はな子さん:景気が良くなれば、税収が増えるから、( F )をして景気を良くすることを優先してもいいと私は思う。増税すると景気が悪くなるから。でも、( F )しても、その分を国民が貯蓄したら景気は良くなりそうにないから。迷うなぁー。

たけ子さん:私は、税金を増やしながら、同時に国の仕事を減らすという方法を考えていくべきだと思う。

次郎君:僕は別の意見で、( D )の発行を少しずつ減らしながら、税負担を今のままにして国の仕事を減らす方法を考えたいな。

太郎君:僕は違うな。僕は、税金を上げて、国の仕事も増やした方がいいと思う。国の仕事には( G )。


(1) 図1の歳出の( ① )の主なものは、地方自治体の収入の格差を少なくするために、交付される資金の
 ことです。国税の一部を、財政基盤の弱い自治体に配分して、自治体間での財政格差を補うことで、
 暮らしている地方によって国民の間にできるだけ不公平がないようにすることが目的の費用です。
 ( ① )にあてはまる語句を漢字8文字で答えなさい。

(2) 図1の歳出の( ② )は、道路や港湾など社会資本の建設や整備に関わる費用です。当てはまる適語を
 漢字4文字で答えなさい。

(3) 会話文中の( A )~( F )に当てはまる適語を、次の語群から選んで答えなさい。
【 語 群 】
所得税   消費税   法人税   減税   増税   税収  国債   地方債借金   社会保障

(4) 図2の歳入の所得税は、表1のように税率が7段階に分けられていま
 す。このような所得に応じて税率が異なるような課税方法を何と言い
 ますか。漢字4文字で答えなさい。

(5) 表1の所得税の税率を参考にして考えると、課税される所得金額が
 195万円、330万円、695万円と900万円の人では、所得税の差はどの
 ようになるか計算してみました。次のうちの計算式で誤りはどれです
 か。ア~エの記号で答えなさい。
  ア 課税所得195万円の場合の所得税は、195万円×5%=9万7500円。
  イ 課税所得330万円の場合の所得税は、330万円×10%=33万円。
  ウ 課税所得695万円の場合の所得税は、9万7500円+13万5000円+73万円=96万2500円。
  エ 課税所得900万円の場合の所得税は、9万7500円+13万5000円+73万円+47万1500円=
   143万4000円。

(6) 図2の歳入の消費税のように、納税者と担税者が異なる税を何と言いますか。漢字3文字で答えなさ
 い。

(7) たけ子さんの会話文の下線部について、次の各問に答えなさい。
 ① 図4で2060年に65歳以上は何人に1人となりますか。次から選びなさい。
    ア 約4人に1人    イ 約2.5人に1人   ウ 約1人に1人
 ② 図5で、給付金の金額が最も増えている項目は何ですか。図5に使われている語句で答えなさい。
 ③ 図4と図5から考えられる、日本の社会保障の課題を「現役世代」という語句を使って簡単に説明
  しなさい。

(8) 会話文中の4人の意見は対立していますが、視点では共通しています。次のうちで、会話文中の4人
 の視点と全く違う考え方はどれですか。
 ア 世代間の公平を図るべきだ。次の世代に負担を残すべきではない。
 イ 税金を上げたり、国民向けのサービスが減ると困るのは現在の国民だから、公債を増やすのはし
  かたがない。
 ウ 税金を上げると物が売れなくなって、税収が落ちて公債残高を減らせない。
 エ 低所得者に負担がかからないように税金を上げれば、公的扶助が減る可能性があるので公債に頼
  る割合を減らせる。

(9) 太郎君の言葉の後の( G )に入れる文として、最もふさわしくない文はどれですか。1つだけ選び、
 記号で答えなさい。
 ア 民間の技術を活用しなければできなことも多い。国の仕事を民間に発注するとそれだけ、多くの
  人が働ける仕事が増えることにもつながるので、税収が上がることが期待できるよ
 イ お金がかかる。税金を上げても、その分を社会保障にあてれば貧しい人も物を買えるよう(所得の
  再分配)になり、景気の回復につながる可能性がある。そうすると税収がさらに上がるよ
 ウ 社会資本を充実させて経済活動を活発にする役割も果たさないといけない。しかし、公債を増や
  して社会資本を充実するよりも、税金を上げて実施する方が後の世代に負担がかからないよ
 エ 教育もある。教育は将来の日本を支える仕事だ。だから、公債を増やしても次世代の負担を増や
  すことにはならいよ

(10) 税制度についての説明について、最もふさわしくない説明はどれですか。次の各文から1つ選び、
 記号で答えなさい。
 ア 消費税や酒税と揮発油税(ガソリンなどにかかる税)などは、だれが支払うときでも同じ割合の税
  だから平等である。
 イ 消費税を上げると、所得の低い人ほど所得にしめる税の割合が重くなる。
 ウ 所得税や相続税では、所得や相続する遺産の多い人ほどたくさんの税金を負担するから不平等で
  あるが、負担する能力に応じて税率を変化させているので公平である。
 エ 税金のほとんどは公務員の給料に使われていて、国民には利益がないので税金はできるだけ少な
  くするのが正しい。

(11) 社会保障制度について、「低福祉低負担」という考え方があります。「社会保障」と「税負担」
 の2つの語句を使って、簡単に説明しなさい。





【解答・採点基準】
(1) 地方交付税交付金   (2) 公共事業
(3) A 社会保障   B 税収   C 借金  D 国債   E 地方債   F 減税
(4) 累進課税    (5) イ    (6) 間接税
(7) ① イ   ② 年金
  ③ 社会保障の給付は増えるが、現役世代の人口が減るため、現役世代の負担が重くなる。
(8) イ    (9) エ   (10) エ
(11) 社会保障をあまり国がしないかわりに国民の税負担を軽くする考え方。アメリカなどが取っている
  考え方で、医療保険や年金保険は民間企業が行い、国民は自己責任でいざというときに備える。




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