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試験問題「財政と税の公平性は保障されているのか」HEADLINE

【観点】
  • 資料活用技能
  • 社会的思考・判断

【問題】
2016年実施
次の会話文をよく読んで各問に答えなさい。
 
イチロウ君:国の2016(平成28)年度の一般会計予算を見ると、総額が96兆7218億円で、年々増加していると言われているね。

ハナ子さん:そうね。国の仕事には色んなことがあって、どれもお金がないとできないからだよね。少し気になるんだけど、歳入でいちばん多いのが公債金になっているよね。これって、何なんかなぁ~。歳入の他の費目は○○税なんて書いてあるじゃない。

サブロウ君:公債金は税金じゃないよ。国が国民からする( A )だよ。毎年増えているよ。特に、2013年から2016年の4年間だけでも約290兆円増えているんだ。国の発行する公債を( B )、地方公共団体が発行するのが( C )だ。この( B )は短期の物で2年、長期の物は40年で利息を付けて返済することになっている。

ハナ子さん:このままだと、日本の国って( A )のかたまりになってしまうよね。図3の2016年度の公債残高は838兆円で、建設公債残高だけでも275兆円あるよ。1年度分の税収が約58兆円しかないのに。どうして、そんなことになるんだろう。入ってくる税金だけで、国の仕事をすることができないのかなぁ~。
 
イチロウ君
:そうだよね。ハナ子さんが言うように、入ってくる税金だけで、国の仕事をするとしたら税金はそのままで、国の仕事を減らすの?
 
ハナ子さん:いいえ。税金を増やしながら、国の仕事を減らすという方法もあるわ。
 
サブロウ君:ハナ子さんはとても厳しいことを言うね。僕は、税金を今のままにして国の仕事を減らすことに賛成だな。

ハナ子さん:でも、図4を見ると、今は、現在の方が働いている人の割合がまだ多いけど、私たちが60歳になるころ、65歳以上の人口が約40%になるのよ今の間に( B )を減らしておかないと私たちの老後は大変だわ

イチロウ君:僕は違うな。僕は税金を上げて国の仕事も増やした方がいいと思う。国の仕事には( D )。



(1) 会話文中の( A )~( C )に当てはまる適語を漢字で答えなさい。
  
(2) 図1の歳入のうちの所得税は、表1のように税率が7段階に分けられている。このような所得に応じて税率が異なるような方法を何というか。漢字で答えなさい。 
 
(3) 図1の歳入の消費税のように、納税者と担税者が異なる税を何というか。漢字で答えなさい。

(4) 図2の歳出のうちで、次にあてはまる項目を漢字で答えなさい。
 ① 私たちの健康や生活を守るための費用。
 ② 道路やダム、港湾などの建設や整備に関わる費用。

(5) ハナ子さんの会話文の下線部について、次の各問に答えなさい。
 ① 図4で2060年には約何人に1人が65歳以上になるか。次から選びなさい。
  ア 4人に1人    イ 2.5人に1人   ウ 1人に1人
 ② 図5で、給付金の金額が最も増えている項目は何か。
 ③ 図4と図5から考えられる、日本の社会保障の課題を「現役世代」という語句を使って簡単に説
  明しなさい。

(6) 会話文中のイチロウ君、ハナ子さん、サブロウ君の3人の意見が対立している。次のうちで、3人
 のどれにも当てはまらない考え方はどれか。1つだけ選んで、記号で答えなさい。
 ア 世代間の公平を図るべきだ。次の世代に負担を残すべきではない。
 イ 税金を上げると困るのは国民だから、公債を増やすのはしかたがない。
 ウ 税金を上げると物が売れなくなって、よけいに税収が落ちることになる。
 エ 税金を上げても、低所得者に負担がかからないようにすれば物は売れる。

(7) イチロウ君の言葉の後の( D )に入れる文として、次のうち最もふさわしくない文はどれか。1つ
 だけ選んで、記号で答えなさい。
 ア 民間の技術を活用しなければできなことも多い。国の仕事を民間に発注するとそれだけ、多くの
  人が働ける仕事が増えることにもつながる。
 イ お金がかかる。税金を上げても社会保障にあてれば貧しい人も物を買えるよう(所得の再分配)に
  なり景気の回復につながる可能性がある。
 ウ 社会資本を充実させる役割もある。しかし、公債を増やすより、税金を上げるほうが後の世代に
  負担がかからない。
 エ 教育もある。教育は将来の日本を支える仕事だ。それだから、公債を増やしても次世代の負担を
  増やすことにはならい。

(8) 税制度についての説明について、最もふさわしくない説明はどれか。次の各文から1つ選び、記号
 で答えなさい。
 ア 消費税は、だれが支払うときでも同じ割合だから平等である。
 イ 消費税を上げると、所得の低い人ほど所得にしめる税の割合が重くなる。
 ウ 所得税や相続税では、所得や相続する遺産の多い人ほどたくさんの税金を負担するから不平等で
  あるが、公平である。
 エ 税金のほとんどは公務員の給料に使われていて、国民には利益がないので税金はできるだけ少な
  くするのが正しい。

(9) 社会保障制度について、「低福祉低負担」という考え方がある。「社会保障」と「国民負担」の2
 つの語句を使って、簡単に説明しなさい。









【解答・採点基準】
(1)A 借金      B 国債       C 地方債
(2)累進課税    (3)間接税
(4)①社会保障関係費    ②公共事業費
(5)①イ  ②年金 ③社会保障の給付は増えるが、現役世代の人口が減るため、その負担が重くなる。(同趣旨であれば可。ただし、「現役世代」の語句を使用していることが必須の条件)
(6)イ
(7)エ
(8)エ
(9)社会保障が手薄な代わりに国民負担が軽いこと。(同趣旨であれば可。ただし、「社会保障」と「国民負担」の語句を使用していることが必須の条件)




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